スト資本主義/資本主義に替わるもの(4)・・・わかりやすいお話 |
自由経済という言葉が有るように、一般的に経済は自由競争の上にあって初めて最高の効率を期待することができると考えられています[注1]。これは真実でしょうか?私は常々、「物事には必ず、一枚の貨幣に裏表が有るように、良い面と悪い面が並存するものだ」と考えています。これは例外なく全ての事象に当てはまると考えられます。
では、一見合理的に聞こえるこの自由主義経済の構造には、この私のルールはどう当てはまるのでしょうか?それともこれは当てはまらないのでしょうか。
この自由競争主義は、歴史的に正しいと思われる事実が存在しています。私がフランスに住み始めた1972年には、イギリスの経済は完全に破綻状態でした。「大学は出たけれど職は無し」といった状況でした。このときに出来た言葉が“work-sharing”でした。二人の大卒者が一つの仕事を1週間の半分ずつ働いて分け合ったのでした。この不景気に果敢に挑戦したのが「鉄の女」と呼ばれたサッチャー(英国首相在任:1979年 - 1990年)でした。1979年の総選挙で「小さな政府」を掲げて勝利、首相に就任しました。彼女が掲げた看板はこのほかに、「民営化」や「規制緩和」、「金融改革」、「減税(企業と高所得者に有利)+消費税増」です。彼女の政策は思想的には、「新自由主義(ネオリベラリズム)」とか「新保守主義(ネオコンサーバティズム、通称ネオコン)、「市場原理主義」と呼ばれるものです[注2]。(中曽根に始まって、小泉以降日本で頻繁に聞かれるようになったこれらのキーワードは、世界的には随分昔のものなのですね。)
サッチャーの次に、同じ手口を使ったのがアメリカのレーガンです。それをまたそっくり真似したのが日本の小泉・竹中です。彼らの政策が私たちの社会へ与えた結果は、一口で言えば「格差社会」でした。これがもたらした悲惨な不幸は改めて言うまでもありませんね。
[注1]ソ連、すなわち共産主義国家の崩壊によって、計画経済はダメで、自由資本主義が正しいことが実証されたとされていますが、これは本当でしょうか?その本家とも思われるアメリカの経済も今やヨタヨタしていますし、EU経済もその基本から崩れようとしています。世界に住んでいる普通の人たちを幸せにする経済システムはいまだに開発されていない、というべきではないでしょうか。人類の知恵の限界でしょうか。これもKonton流言えば「前頭葉の設計ミス」ということになると思うのですが。
[注2]一言で言えば、反・社会民主主義です。